atusi について

三重県四日市市で小さな木工所を営んでいます。

第62回正倉院展

2010正倉院展チケット

今年も正倉院展に行ってきました。今年の出展の目玉はなんと言っても螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんごげんびわ)で、チケットや目録の表紙にも使われています。

しかし、今回の展示で個人的に興味深かったのはいくつかの道具です。それもよくあるような儀式のための様式化され装飾されたものではなく、実際に使われた物のようです。展示や目録の解説には以下のようにあります。

宝庫には工匠具が六種類二十一点、及び部材二点が伝えられている。いずれも実用品と考えられ、使用による摩滅が著しいものが少なくない。

実際に展示されていたのは、(やりがんな)が5点、(やすり)が3点、刀子(とうす)が2点、(きり)が1点。以上が木工具と思われる物。いずれも鉄(鋼?)の刃に木製の柄がすげられている。

他に、打鑽(うちぎり)が6点、 多賀禰(たがね)が、4点。これらはいずれも(たがね)であり、現在も彫金や皮革の彫刻や装飾に用いられているものと同様の使われ方をしたらしい。なかには頭部がまくれ返ったものもあり、実際に叩いて使われたのがわかる。 角製工具(つのせいこうぐ)というものもあって、これは布や革の墨付けに使われたのではと解説されていた。これも和裁のヘラのようなものではないかと思った。そういえば母親が使っていたヘラも水牛の角か象牙製だったように思う。 斧柄(おのえ)というものもあったが、どういう使われ方をしたのか詳細は不明とのこと。

正倉院展目録から工匠具のページ

これらの道具は、いずれも現在の同種のものと比べて質素というか粗末なものだ。(やりがんな)とされているのも、大きさから言って生反り(なまぞり)のようなものだし、据えられた柄も無造作に削られている。仕込んだ部分から割れが入って、そこを針金のような物を巻いて補強してあるものもある。工匠に失礼だが、親方!やってますなあという感じでほほ笑ましい。御物の性質や他の収蔵品の質から考えても、特に粗末な道具を集めたとは考えにくい。逆に実際に使われたものの中からむしろ最良のものが献納されたと考えるのが自然だ。

さて、そこから展示されている工芸品の御物のすばらしく精緻で繊細な完成度とこうした工具類の粗末さとの落差に愕然とせざるをえない。たとえば、今回展示されている蘇芳地彩絵箱(すおうじさいえのはこ)や、黒柿蘇芳染金絵長花形机(くろがきすおうきんえのちょうはながたき)のようなものを、やはり展示されているこのような粗末な道具で作ったとは私などにはにわかには信じがたいほどだ。当然、残された物とは別に一品一品に合わせた様々な道具や治具を作り、色々な工夫や技を駆使して作っていったのだろうが、その過程も私の想像の域をはるかに超えたものだろうと思う。


さて、振り返って今我々が使っている道具を見ると、一見簡素ではあるがなんと精緻で合理的でよく出来た物かと思います。機会をあらためて書きたいと思いますが、鋸などは良い姿勢で力を抜いて鋸刃の重みだけでゆっくり挽いていくと、自然にまっすぐ垂直に切れていきます。良くできた鑿をちゃんと研いであれば上から叩けば、自然とまっすぐ孔を穿っていきます。そうして墨に沿って少しずつ歩かせていけば、下手な角鑿よりもきれいな穴が開けられます。こうしたすぐれた日本の木工具というのは、今から30年か40年ほど前にもう完成されてしまったように思います。しかし今でもちゃんとした道具屋に行けば良い道具が相応の値段で手に入ります。そうした道具を使いながらまともな仕事が出来ないのは、その使い手たる自分が箸にも棒にもかからないヘタレに過ぎないからです。それをさておいて、道具の些細な薀蓄の世界に逃げたり、すぐにやたら高価で便利そうな電動工具や木工機械を欲しがったりするのは、やはりどこかおかしい。

この10余年、毎年どんなに忙しくてもこれだけは欠かさず出向いて見るようにしています。昨年もあらためて調べると父親の亡くなる三日前の10月30日に行っています。その父親が寝たきりの状態で病院からの退去を迫られていて、その対応で私自身もかなり強いストレスのかかっていた時期でした。その後のドタバタもあってすっかり忘れていたのですが、その後に寄った興福寺北円堂の特別公開のデジカメ画像がパソコンに残っていて、そのデータ(Exif)により思い出しました。

興福寺北円堂

欠かさず拝観するのは、もちろんこうした御物・宝物を見て何かの参考にするとかパクるといった目的ではありません。もうまったく世界が違います。むしろ今回、天平の工匠の道具を見てあらためて感じたのですが、自分の下手さ加減や自分の作った物のつまらなさを自覚するよい機会になっています。別に自虐趣味はありませんからもう少し言うと、それでも何か物を自分で作って生きたいと思う自分がいて、そして使って喜んでくれてお金をだしてくれる人がいる。それはもうなんと幸せなことなんだろうと自分のよって立つ場所がハッキリするような気がするのだと思います。

私の知る範囲でも木工を始め金工や陶芸など工芸やクラフトと呼ばれる世界に携わる人はたくさんいます。しかし毎年とは言いませんが木工家とか自称したり言われたりしている人で、この正倉院展に行く、行ったと言う人を知りません。まあ皆さん忙しいからでしょうがもったいないことだと思います。同業他社(者)の展示会に行くくらいならこちらも一度は行ってみると良いと思います。そもそもパクリの対象にならないし、この天平の工匠の仕事を見てしまうと自分の事を(たくみ)と称したり、自分の作ったものを作品と呼んだりするような恥ずかしいことが出来なくなるかもしれません。でも若い人たちは、つまらないことに拘泥する必要はありません。もう今年は会期もおしまいになってしまいますが、来年でも良いので是非行ってみることをお奨めします。

暮らしに寄り添う木工展2010

私の出展物一部の画像です。

ナラ・ライティングデスク

クリ・AVボードの出展画像

クリ卓袱台

出展の小物

小物の類は、最近は作っていなかったのですが暮らしに寄り添うという展示のテーマもあって作ってみました。手前の小さな物から、メープルのティー・メジャースプーンチェリーの小皿ナラのトレー(刳り盆)、奥はレッドオークのカトラリーボックスです。スプーンと小皿は、31日のワークショップで作ってもらえます。

再手術

昨日は母親の泌尿器科の検診だった。同じ病院で金曜日には手術、その後入院も予定されているのでパスして入院後に検診してもらってもよいかと思ったが、連れて行く。検尿のため導尿をしてもらうが、骨盤横のピンの抜けて飛び出した部分が赤黒く床ずれしてミミズ腫れのような状態になっていることを教えてくれる。わざわざ私を呼んで患部を見せてくれて、整形外科で看てもらった方がよいのではないかと言われる。

事前に整形外科の担当の医師より、患部が化膿して菌が入ると骨の手術はできないと聞かされていたので、今日状態を電話で伝えて看てもらう。かなり悪い状態で、でもぎりぎり手術は出来るだろうとのこと。ただし、患部の養生のため今日から入院ということになった。

年寄りの怪我やら病気の症状は、急に進行するし、痴呆の状態では症状を自覚してまた訴えることもむずかしい。導尿などは看護師の仕事で医師が立ち会うとも思われないので、看護師が患部に気づいて、医師の報告。医師があらためて家族である私に伝えてくれたのだろう。泌尿器科の医師と二人の看護師はいずれもまだ若い女性だった。医者というのは、どうも専門外のしかも他の医師の担当する患部や症状に関しては口を出したがらないようにも思うが、指摘してもらって助かった。

人工骨頭

3月25日(木)、母親の退院後初の整形外科の検診。大腿骨の手術の予後が不良で、骨折した頸部が完全に剥離して埋め込まれたピンが外側にスライドして皮膚近くまで飛び出している。執刀医がこの週いっぱいで転勤になるとのことで、あらためて2日(金)に、新しい別の医師に診てもらい所見を聞く。放置しておけば、床ずれを起こして骨髄炎を誘発する可能性が高いので、とりあえずもう何の役にも立っていないピンは抜かなくてはならないとのこと。あとの選択として、そのままにしておくか、人工骨頭を入れるか。そのままでは左足に負荷をかけられないので自立歩行は無理、年齢からいっておそらく寝たきり状態になる。母親にはすでに判断する認知力はない。診察室を出た段階でもう自分の足の状態も医師の説明も忘れている。手術自体の多少のリスクと秋から3度目になる長期入院による認知症の進行とその間の介護負担を考えても、人工骨頭を入れてもらうことにする。9日に手術してそのまま入院となる。

散歩

父が亡くなり、母親が病院や施設の入退所を繰り返す中で実家の犬の散歩が私の日課になった。高齢になってからのペットの飼育は自分の健康状態や余命、何かあった場合のフォローなど慎重に考えるべきだ。犬や猫は今は10年以上は生きるのだ。いつもの散歩道は、今は花見で賑わう堤の対岸だ。

花見で賑わう海蔵川の堤防

新しい施設を見学

母親が入所している施設で、同じ法人が近くに新しい施設を作り、そのお披露目というか説明会のようなものがあるということなので、見舞いのついでに寄ってみた。特別養護老人ホーム20床、ショートステイ用が10床の新築施設。その内覧会とのことで、仮設のテントの受付が2張り設けられ施設内ではお茶やコーヒーの接待に、デイルームではお好み焼きが焼かれて振る舞われていた。帰るときに小さな箱を頂いたが、紅白饅頭だった。

サテライト常磐外観

客層(?)は、いわゆる団塊世代とその親とおぼしき世代の人たちが多いように思った。それとその方たちと比べると年齢の低い介護関係者。こちらはチェックする時の目つきと、案内者に対する質問の内容ですぐそれとわかる。自分の親、または自分たち自身が入所することを具体的に考えての見学であるように見えた。でもなんとなく華やいだ明るい雰囲気は、たとえば若いカップルの人たちが新居さがしにマンションギャラリーを訪れるのと同じようにも感じた。

サテライト常磐の内部・内覧会の様子

その施設は、平屋造りで、全体の建物の構成は⊥字状に配置され三つの辺の交点の部分にデイルームやスタッフルームが配置され浴場や医務室は縦の辺のところに置かれている。明るく開放的で合理的に構造となっていた。床や柱は木目調の厚めにクッションフロアー材のようなものが張られ、手の届かない天井の梁などは実際には装飾だろうが四寸角くらいの檜の節ありの材が使われていた。

Vine Linux 5.1

パソコンのOSをVine 5.1に入れ替え。ついでにハードディスクも換装。土日をつぶす。

商用(ノンフリー)のアプリとして、Vine Linux 3.2 CR に付属したRicohのフォントを入れ、今回あらたにジャストシステム ATOK X3 for Linuxのダウンロード版を購入、インストールした。

結局、ディスプレイを買い換えてからハード、ソフトともいろいろ更新した。

パソコンのディスプレイを交換

パソコンのディスプレイを買い換えた。別に何か不都合があったわけではない。

先週、中田木材工業に材木を仕入れに行った帰りに日本橋の電気屋街に寄った。そこのあるショップでナナオの中古の24インチのディスプレイが5〜6台並んでいた。デモで画像を表示していたが、ドット抜けなどもなくきれいな絵のように思えたし、フレームなども目立ったキズなどなくきれいだ。どこかの事務所か企業の下取り品らしい。価格は22,800円。欲しいなと思ったが、CRT時代のイメージもあって、中古のディスプレイなどいかがなものかと考えた。それにインターフェースの問題で今のパソコン(いずれもマザーボードのチップセットのビデオを使っている)で、そのまま使えるのか?などの疑問もあって型番( FlexScan S2410W)だけ控えて我慢して買わずに帰った。

それで、戻ってからこの機種も含めて液晶ディスプレイについて調べているうちに新しいものが欲しくなったのだ。それで買ったのがこれ。↓

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