明日28日(金)から”木の仕事展IN東海2014”開催です

今日は、会場の名古屋市東区の東桜会館への搬入でした。
今回の展示のための新作のひとつ、トチの古材他で作ったキャビネット(厨子)です。

トチ厨子

トチ厨子

もうひとつ、メインに考えていたスケルトン・アンプですが、間に合いませんでした。配線を残すだけなんですが、なんとか会期中に間に合うように頑張ってみます。

あと、今回のワークっショップでは、フォトフレームを作ってもらいます。実際にはノミと鋸を使って、それそれホゾ穴とホゾを作って組んでもらいます。本格的な木工の基本を体験してもらえます。是非、参加してください。時間は随時行っています。1回、500円です。 

ワークショップ・ホゾとホゾ穴で組むフォトフレーム

ワークショップ・ホゾとホゾ穴で組むフォトフレーム

”木の仕事展INは東海2014”の詳細は、こちらにDMを置いてありますのでご覧ください。画像ファイルです。

DM表面 DM裏面(会場の地図などはこちらです)

一年

一年前の今日は、空が低く暗い寒々しい日だったと記憶しています。通夜と葬儀を行った翌日と翌々日は、日差しも戻り穏やかな秋晴れでした。葬儀が終わり家から棺を載せて斎場に向かう霊柩車の運転手が、しばらく寒い日が続いて昨日までは斎場が混んで順番待ちのような状態だった。今日は比較的空いている。お母さんは頑張ってくれたのですね云々。そう言えば前日の18日の夜、名古屋の電気文化会館でのギアン・ケラスさんのバッハ無伴奏チェロ組曲のコンサートを予約していた。週末には容態の改善の兆しもあるとされていたのが、この日のあらためての検査で、回復の見込みなしとされた。

結局18日は、持ちこたえて翌19日の夕方に亡くなることになってしまいましたが、1日待ってくれたというか、せっかく楽しみにしていたのだから行けばよかったのにと言われていたような気が今さらします。もちろん、そんな状況で、コンサートなんか行けるはずもなかったのですが。前にも書きましたが、5年前父親の心肺停止の報を受けたのは東京へ向かう新幹線の中でした。やはり当日夜、新宿のオペラシティでのパトリシア・プティボンのリサイタルのチケットを予約購入してありました。宿まで取ってあったのですが、折り返し四日市に戻りました。混乱して錯綜する想いの中で、なんでもう1日待ってくれないと思っていました。父親の場合は、体はずいぶん弱っていましたが、重篤な状態というわけではありませんでした。現に急性期の病院を退院させられる予定で、次の事を塩梅している最中だったのです。

こうした偶然に都合の良い意味付与をする事を好みませんが、2人の亡くなり方が、その性格のある面を現しているようにも思えてきます。

海蔵川のサクラの落ち葉

海蔵川のサクラの落ち葉

今年は、いつも雑種犬タローを散歩させる海蔵川のサクラの葉の色づきが鮮やかです。昼休みに拾ってきた何枚かの落ち葉をスキャンしてみました。別に山のナナカマドや山漆でなくても、近くにも艶やかな紅葉を見ることが出来るのだ、と自分を慰めています。

 

ナラは、偽りの愛のように・・・?

すっかり寒々しくなった工房での残業のBGMは、ほっこりした歌ものがいい。ベンジャミン・ブリテン伴奏でピアーズの歌うCDを聴く。気になるくだりがあった。


O Waly,Waly

—–
I leanend my back up against some oak,
Thinking that he was a trusty tree;
But first he bended,and then he broke;
And so did my false love to me.
——


そうか、イングランドではナラ(オーク)はこんなイメージの木なのか?私にとっては、十分に “trusty” な存在なんだけどね。歌の最後に、宝石のような愛も、古くなって朝の露のように消えたとあるから、頼もしそうに見えるナラ(オーク)ですら曲がって折れてしまうという比喩なんでしょう。まあ、でも今、ナラ使って仕事していないからいいか。

定光寺に乾漆を見に行く

もう先週のことになってしまいましたが、案内を頂いて)定光寺(じょうこうじまで乾漆の作品を拝見しに行ってきました。車のほうが便利と言われていたのですがJR中央線の定光寺駅というのは、実は前から行ってみたかったので電車にしました。

JR中央線・定光寺駅

JR中央線・定光寺駅。 GXR A12 28mm

駅およびその周辺は、想像していた通りというかそれ以上に)禍々(まがまがしさ満載で嬉しい。この駅は、年寄りは利用できないなと思っていたら、おじいさんが2人階段を登って行きました。駅から定光寺参道の前を通ってギャラリーまでの道すがらも色々あって、宮沢賢治の『注文の多い料理店』の世界に入ってしまったように思えてきました。歩きながら少しクラクラしてきた程でしたが、あまりいらないことを書くと差し障りもありそうなのでやめておきます。


乾漆中心の展示は、いずれもほれぼれするような見事なものでした。勝手に漆の師匠と仰いでいる作家さんは、親子ほども年の離れた人ですが(もちろん私のほうが上です)、以前に漆刷毛を分けて頂きました。今回も色々不躾で初歩的な質問にも答えてもらいました。私のブログも覗いてもらっているようで、漆に関する顛末などお恥ずかしい限りですが、まあ今さら体裁しても仕方ありません。

中根寿雄さんの乾漆作品1

中根寿雄さんの乾漆作品1

こうした作品としての乾漆を手に取らせてもらうのも初めてだったのですが、その見た目の重厚感に比しての驚くほどの軽さ、そのギャップに戸惑います。木地を使ったものならこうはいかない。なるほど工芸としての乾漆というのは、まずはここにあるのかとおもいました。型の作り方から、麻や漆錆の付け方まで教えてもらいましたが、いまさら一介の木工屋が片手間にどうのこうの出来る世界ではありません。しかし、手慰み程度から始めて遊んでみたいとは、あらためて思いました。

中根寿雄さんの乾漆作品2

中根寿雄さんの乾漆作品2

中根寿雄さんの乾漆作品3

中根寿雄さんの乾漆作品3

一通り展示を見終わって、お話を聞いて、カフェを兼ねたギャラリーでコーヒーを注文する。お姉さんとオバさんの境目くらいのお年と思しききれいな店員さん(ママさんか?はたまた山の雌狐が化けたか)に、作家さんとは、お知り合いか?やはり何かを作っていらっしゃる?そういう雰囲気なので・・・とか尋ねられる。これを簡潔に営業トークから関西のママさん風に翻訳すると、オッさん、どう見てもまともな勤め人には見えへんけど、なにやってる人?ということだなあ、うん。

一周忌でした

今日は、昨年の11月19日に亡くなった母親の一周忌の法要でした。あらためて、こうした法事は送った者の言い訳と自分に対する取り繕いのための儀式という気がしてきます。本当の意味で、死者を悼み慈しむような気持ちをもって臨んでいるのは、今日も出席してくれた母親の2つ上の伯母だけのようにも思えます。

このブログのアクセス解析を見ると、介護とか看取り関連のキーワードでの検索結果から訪問して下さる人がかなりの数いらっしゃるようです。たとえば、棺 着物とかのキーワードでの訪問者は、ほとんど毎日のようにいらっしゃいます。ちなみに、実際にその検索結果を見てみると、1ページ目のデヴィ夫人がどうのといったガセのような記事の間に、このブログのある記事が出てきて不思議な気分になります。葬儀屋とかお坊さんとか、あるいは地域のお年寄りとか親族にも相談出来ない看取りとか介護の関わる微妙な問題について、多くの人がネットをさまよっているのかなと感じます。経験した葬儀の事や看取りのこと、加えて一年の間に、あらためて介護職員初任者研修に参加してわかった事、気がついたことなど書きかけてやめてしまっています。もういいかという思いもありますが、遅ればせながらでもあげていこうかと思います。

第66回 正倉院展2 漆四合香箱残欠(うるしよんごうこうばこざんけつ)

公開講座に関しては後で触れます。正倉院展は、まだ会期が残っています(〜12日)。これから行かれる人もいらっしゃるかもしれませんので、今回の展示で個人的に印象に残ったものをいくつか紹介します。

右ページ、漆四合香箱残欠

右ページ、漆四合香箱残欠

同じ物を4口組み合わせた、何かの盛器ではないかと解説されています。ヒノキ製で、全面に布被(ぬのきせ)の上、黒漆を塗る。とされています。

そのいわゆるエッジの効いたという表現がぴったりのシャープで軽妙洒脱な形状はすばらしい。写真ではわかりにくいのですが、ごく小さなものです。図録によると、最大辺23.6、高さ6.0センチとなっています。各辺の厚みは、直線部、稜線型部分ともに5厘(1.5ミリ)ほどでした。これが4口そろえば、また違った印象になるとおもいますが、これ単独でも見飽きることはありません。

こうしたものの制作技法を詮索するのは邪道かつさもしい事かもしれません。それでも、やはり気になります。この稜線部もヒノキ製とするとどうやって作ったのでしょう。今風に、ごく薄い板を重ねてプレスして接着したとしても、こうしたくっきりとしてエッジの立った形状にするのは難しいでしょう。削り出しとすれば、目切れの部分が何箇所も出来てこの薄さで完成させる事自体が困難な上に、実用にはならないと思います。考えられるのは、4個のパーツに分けて削り出し、それを接着させる事ですが、当然、今のようなメーカーや木工家御用達の恐ろしげな接着剤などありませんから、漆かニカワでしょう。それを補強する意味もあって布着せを施したとも考えられますが、それでこの薄さできちんと角を出して仕上げるというのはなんとも素晴らしい熟達の技能です。そうした感嘆すべき技能・技法を駆使して、それをさりげなく実用的な器として形にしている。本当に、粋で素晴らしいなと思います。

第66回 正倉院展1 菊一文字と吉田蚊帳に寄りました

昨日11月3日、第66回正倉院展に行ってきました。例年、自営業の気安さで平日に訪れているのですが、今年はちゃんとしたお勤めの人に同行を願ったために祝日の観覧となりました。でも、そのおかげで公開講座を聴くことが出来て、これがたいへん良いものでした。今まで、こうした講座は、土日の開催ということで、端からスルーしてきたのが悔やまれます。

菊一文字の彫刻刀と吉田蚊帳の蚊帳の生地

菊一文字の彫刻刀と吉田蚊帳の蚊帳の生地

これもここ何年かの恒例のように、まずは奈良町商店街の菊一文字に。今年もご夫妻とも健在でお店に出ておられる。ケースの中には、東大吉銘の丸刃の彫刻刀が2本だけある。もう残っているのは、これだけだと奥さんがおっしゃる。ケースから出してもらって確かめると2分(6ミリ)と4分(12ミリ)とちょうど持っていないサイズだったし、これも何かの縁とか例によってこじつけて買う。去年は、鯵包丁を買った。その前は、おろし金とか、彫刻刀とか、切り出しとか・・・正倉院展に合わせて最近は毎年寄らせてもらっている。今年もお二人ともお元気そうで嬉しいですと挨拶。四日市と名古屋から来たと言うと、名古屋からは毎年来てくれる人が他にもいて、ことしは裁ちばさみの研ぎを依頼され置いていったとの事。もうかなり高齢とお見受けするご主人が今でも研ぐのだそうだ。

そこから、通りがかった奈良町物語館で若い作家さん10人ほどのクラフト展を覗いて、吉田蚊帳で、蚊帳の素材となる生成りの麻布を買いました。漆の下地用(布着せ)です。

前に、名古屋の小谷漆店で漆の下地の布着せについて教えてもらいました。一般的には寒冷紗(麻)と言われているが、今、輪島ではこれを使っているといって見せてもらった木綿の布を買って使ってみました。どうも腰が弱く、我々素人にはヘラで上手く扱えません。小谷さん自身は乾漆以外ではこの綿布を使い、乾漆の場合は麻を使うとのことでした。やはり下地自体に強度を持たせるのは麻しかないらしい。その場合は手芸屋とか端切れを求めるが、手に入るなら蚊帳の中古も良いとのこと。それで、教えたもらった名古屋の手芸屋に出向いて見たが、麻はそこそこ高い。オークションサイトで、中古の蚊帳を見ても、けっこうな値段になっている。

以上のようなことを、木工屋みしょうの林さんを見舞った時に話したら、新品の蚊帳の素材が安く手に入ると教えてもらう。それで、ネット検索して探した一軒が、この吉田蚊帳さんでした。値段はそこそこ。漆芸屋で、売られている寒冷紗にくらべれば格安というレベルです。ただ、多少粗めでざっくりした仕事には良いかもしれませんが、細かい仕事用には別に手芸屋で求めた目の細かい布を使うことになりそうです。

公園内の大きなケヤキ。こうした木を見るとつい撮りたくなります。 GXR A12 28mm

公園内の大きなケヤキ。こうした木を見るとつい撮りたくなります。
GXR A12 28mm

さて、午後1時整理券配布、1時半開演の公開講座の前に、国立博物館のすぐ裏の浮見堂で弁当にします。当日は雨が予報されていたのですが、ここなら雨の水面を眺めて食事も良かろうと思っていました。それにここは、さすがのあつかましい公園の鹿も入ってこないので安心です。なお当日は秋らしい爽やかな晴天でした。

浮見堂。これは、一昨年撮ったものです。 GXR A12 28mm

浮見堂。これは、一昨年撮ったものです。
GXR A12 28mm

木の仕事展IN東海2014

東海地方在住の仕事仲間とのグループ展・木の仕事展IN東海2014に、出展します。

追々、このブログで見ていただくものを紹介していきたいと思います。是非お越しください。

  • 11月28日(金)〜30日(日)
  • 東桜会館 名古屋市東区東桜2-6-30 TEL 052-973-2223

詳細は、こちらにDMを置いてありますのでご覧ください。画像ファイルです。

DM表面 DM裏面(会場の地図などはこちらです)