モーツアルトの魔笛が見たい(聞きたい)と思っていたら、エディット・マティスがパミーナを演じる古い映画撮りのものがDVDになっており、ネットで中古で安く出ていたので買って見た。通しで見たの何年振りだろう。
とりあえずザラストロやタミーノがからむ儀式のシーンは暑苦しくてもういいやという感じになる。ふたつの恋の話もタミーノとパミーナのくだりは、ようするにこんなもの政略結婚じゃないかと思えてしまう。マティスの演じるパミーナは古いディズニーのアニメの御姫様のようにきれいだが、なんだかきれい過ぎて逆に興が覚めてしまう。ただ、モノスタトスの所からのパミーナとパパゲーノの逃避行のくだりは楽しい。二人で歌われるアリアもいずれもほっこりしていいな。
途中、二人はモノスタトスとその家来たちに再び捕まって痛い目に合わされそうになるのだが、パパゲーノが機転を利かせてグロッケンシュピールを鳴らすと、モノスタトス達は歌い踊り出して二人を放してしまう。いがみ合い迫害するもの達とも一緒に踊り出してしまう魔法の鈴!まさにお伽話だが、お伽話だからこそこんな幸福で愉快な事があったっていいじゃなかと思う。今回、魔笛を通して観て一番幸せになったのは、この場面だ。
Das klinget so herrlich,
das klinget so schön !
La-ra-la,la la!
Nie hab’ ich so etwas gehört und gesehn!なんて素敵な響き!
なんて美しい音!
ララララララ、ラララ!
見たことも、聞いたこともない楽しさ。