木のある暮らし展には間に合いませんでしたが、ヒノキの収納棚をとりあえず完成させました。前に紹介したヒノキの薄板(ヒノキの薄板、ヒノキの薄板2)を使っています。
もともとは手元にあったヒノキの薄板をなんとか利用したいという思いから作ったものです。実際には厚さ3〜4分(9ミリ〜12ミリ)程度の板ですから、扉などの鏡板くらいしか用途が思い浮かびません。単板として他の板に貼り付ける(ランバーコアだ)という手もありそうですが、いかにも野蛮な感じでいやです。それでも、当たり前に(戸)框に落とし込んで使うのでは面白くない。以前は、同じように薄い板で、幅が狭く良く枯れた板では、端ばめに裏を補強して使うという事をしていました。
しかし、今回のヒノキの板のように幅が2尺(600ミリ)を超える板で端ばめを施すのは、板の収縮を考えると無理です。それで考えたのが端ばめ框です。簡単に言うと、端ばめの一方を接着剤などで固定して、他方を通常の框に固定して、挟んだ板を落とし込みにして収縮・膨張を逃がすという構造です。
こちらは、通常の端ばめの形です。ただし、接着剤は留部分の周辺しか付けない。今回は後からさらに金具で固定しました。
他方は、框として他の框に固定する。板はそこにはめ込んで接着はしない。
特に奇抜でも、革新的な手法とも思えず、あるいは私が知らないだけで先例があるのかもしれません。でも、これしきの手法が意匠とか特許登録されているとも思われないので、これからも使っていきたいと思います。ただ、今回の反省として
- 端ばめの固定部分を金具で固定するなら、意匠的にも留にする必要はなかった
- 端ばめ(框)と板は、片蟻でよいので蟻組で接合したほうが紛れは少ない
があげられます。参考になるなら、同じような薄板をお持ちの同業者の方など技法の一つとして試みてくだされば嬉しいです。