それでも、ブラームスが好きなのはなんでかな。くどいな、とかもっと普通にやってくれれば良いのにとか思いながら、押し付けがましさを感じないからかなと思ったりします。それで聞いていると自然と優しい気持ちになれる。なんだか人に馴染めず、その輪とか仲間内に普通に入っていけない「ぼっち」な私の味方かもしれない。もちろんきれいなメロディーもたくさんあります。
いつの間にか、バッハよりもモーツァルトよりもブラームスのディスクの数が多くなっています。今、気に入っているのはハイペリオンから出ている歌曲全集です。なぜか4枚出てからリリースが暫く途切れてしまっているのが残念です。特に、1枚目のキルヒシュラーガーさんと、3枚目のサイモン・ボードさんのディスクが、本当に素敵で思い出しては、繰り返し聞いています。サイモン・ボードさんは、イギリスの若手のテノールらしいですが目立ったキャリアはなく、私も全然知りませんでしたが、甘く瑞々しい、しかも抑制の聞いた知的な雰囲気ただよう美声です。このディスクでは、作品33などのドイツ民謡由来の曲をいくつか歌っています。それに有名な「子守唄」もあります。ブラームスのメロディアスで優しい曲想に、ぴったりとふさわしく聞き惚れてしまいます。ブラームスってイマイチ取っ付きにくいとか、あの仰々しさがどうもと敬遠している人などに、特にお薦めです。