モーツアルトのピアノ協奏曲全集

今日は、仕事の打ち合わせでお邪魔したお宅でクララ・ハスキルのモーツアルトを、アルテックのA7、EMTのプレーヤーで聴かせてもらう。

誰だったかある高名な音楽評論家はオフレコでは、西洋音楽なんてバッハとモーツアルトだけあれば良い。あとはみなその亜流か出来損ない。と言い放っていると読んだか聞いたかした記憶がある。私もそう思う。それに我々日本人には美空ひばりの歌がある。

関係ないが、美術評論家の洲之内徹は、藤田(嗣治)の絵は戦争画しかない、あとはクズだよと言ったそうだ(司修・『戦争と美術』)。何年か前に藤田嗣治の戦争画が一般公開されたとき、これも本当にその通りだと思った。洲之内徹という人も前に書いた絶対にお金を出してその本を買いたくない人の一人で、その「気まぐれ美術館」は『芸術新潮』連載時にはもちろん立ち読みだし、後に何冊かの単行本になってからも図書館で借りて読んだ。この司修さんの著作は、毎年この季節になると読みたくなる。そして東京国立近代美術館の靉光(あいみつ)の大きな目玉の絵を、関根正二の『少年』などと一緒に見たくなる。この本の冒頭にはシャガールの「ホロコーストの犠牲になったユダヤ人画家たち展」のカタログへの献辞が引用してある。これを読むだけでも、この本を購入する意味があると思う。シャガールの絵にこびりつくどうしようもない禍々(まがまが)しさが少しは理解できる気になる。

フォルテピアノとピリオド楽器によるモーツアルトのピアノ協奏曲全集。2005〜2006年の新しい録音の11枚組で4,330円というもの。

フォルテピアノによるモーツアルト協奏曲全集