もう先週のことになってしまいましたが、案内を頂いて定光寺まで乾漆の作品を拝見しに行ってきました。車のほうが便利と言われていたのですがJR中央線の定光寺駅というのは、実は前から行ってみたかったので電車にしました。
駅およびその周辺は、想像していた通りというかそれ以上に禍々しさ満載で嬉しい。この駅は、年寄りは利用できないなと思っていたら、おじいさんが2人階段を登って行きました。駅から定光寺参道の前を通ってギャラリーまでの道すがらも色々あって、宮沢賢治の『注文の多い料理店』の世界に入ってしまったように思えてきました。歩きながら少しクラクラしてきた程でしたが、あまりいらないことを書くと差し障りもありそうなのでやめておきます。
乾漆中心の展示は、いずれもほれぼれするような見事なものでした。勝手に漆の師匠と仰いでいる作家さんは、親子ほども年の離れた人ですが(もちろん私のほうが上です)、以前に漆刷毛を分けて頂きました。今回も色々不躾で初歩的な質問にも答えてもらいました。私のブログも覗いてもらっているようで、漆に関する顛末などお恥ずかしい限りですが、まあ今さら体裁しても仕方ありません。
こうした作品としての乾漆を手に取らせてもらうのも初めてだったのですが、その見た目の重厚感に比しての驚くほどの軽さ、そのギャップに戸惑います。木地を使ったものならこうはいかない。なるほど工芸としての乾漆というのは、まずはここにあるのかとおもいました。型の作り方から、麻や漆錆の付け方まで教えてもらいましたが、いまさら一介の木工屋が片手間にどうのこうの出来る世界ではありません。しかし、手慰み程度から始めて遊んでみたいとは、あらためて思いました。
一通り展示を見終わって、お話を聞いて、カフェを兼ねたギャラリーでコーヒーを注文する。お姉さんとオバさんの境目くらいのお年と思しききれいな店員さん(ママさんか?はたまた山の雌狐が化けたか)に、作家さんとは、お知り合いか?やはり何かを作っていらっしゃる?そういう雰囲気なので・・・
とか尋ねられる。これを簡潔に営業トークから関西のママさん風に翻訳すると、オッさん、どう見てもまともな勤め人には見えへんけど、なにやってる人?
ということだなあ、うん。