今回は色漆を使った仕事をいくつか見て頂く予定でした。メインの朱塗りの大皿が、最後の乾燥の時に温度管理に失敗して黒く濁った様な色合いになり断念しました。
それで、ナラの刳り物の木口を布着せして黒漆を塗ったものと、乾漆もどきの2つをひっそりと出してみました。それぞれの経過は、こちらの記事にあります。
ナラの繰り物は、昨年のこの展示会で刳り物のサンプルとしてワークショップの所に置きました。それで四方反り鉋で、体験的に削ってもらったりしたものです。それを今年は仕上げてきました。干割れの入っていた木口に布着せをして黒漆を塗ります。刷毛塗りではどうしてもゴミと塗りムラが取れずに研いで誤魔化したのですが、同じ出展者で漆塗りの作品を展示していた南秀明さんに見てもらったところ、そうしたやり方もありとのお墨付きを頂きました。こうして木口を漆で固めると言うやり方は、先日の第66回正倉院展の赤漆履箱を見て大いに得心いたしました。今後、錆だけとか布着せまでやるとかその都度考えて、こうした器などの小物の他にも机の天板や箱物の角などで試していきたいと思います。
乾漆もどきの方は、先日の中根さんの作品を拝見した後では、乾漆
と称するのも憚られるほどのものですが、これも南さんによると、ひとつの漆芸のあり方と考えれば良いと言われ、その気になってしまいました。