気分を変えて、久々に買ったCDの話。マリアンネ・プスール(Marianne Pousseur)の、Onlyというアルバムです。
マリアンネ・プスールさんのディスクは、以前に紹介していました(→ハンス・アイスラーとベルトルト・ブレヒト 労働者の母のための4つの子守唄)。1996年発売のWar and Exile
という、すべてブレヒトとアイスラーよる27曲を集めたアルバムでした。当時としてはかなり尖った先鋭的なものだったと思います。声楽家っぽくない地声の歌唱もブレヒト・ソングに合っていて良かった。今回のOnly
も、面白い。
マリアンネ・プスールという人は、ベルギー生まれの声楽家でパフォーマーという以外詳しいことは知りません。しかし、このアルバムの構成が、なんともすごい。アイスラーを除いて、聞いたことのない曲ばかりですが、その一覧を見ただけで、これは聞かねばと思いました。
- ジョン・ケージ、ジェイムズ・ジョイス「18の春の素敵な未亡人」(?” The Wonderful Widow of Eighteen Springs ” どう訳せば良いのか分かりません)
- モートン・フェルドマン、リルケ 「Only」
- ハンス・アイスラー、ベルトルト・ブレヒト 「世界の示す友情について」
- フレデリック・ジェフスキー、ラングストン・ヒューズ 「餓えた子ども」
などなど。多少なりと現代の文学や音楽に関心のある人には、かなり興味をひくものでしょう。仕事のBGMとして流すには濃すぎて、夜静かに辞書を傍らに聴いています。前書きにある、
I like to listen to music in place that haven’t been designed for it.
I like when music in with noise.
というのも面白い。実際に様々な生活雑音の中に音楽が流れます。なあに、そんなことしてもらわなくても、もともと雑音だらけの環境で聞いているのですがね。いくつか訳してみます。
Hungry child
Hungry Child, I didn’t make this world for you
You didn’t buy any stocks in my railroads
You didn’t invest in my corporations
Where are you shares in Standard Oil?
I made the world for the rich and the will-be-rich,
And for always-have-been-rich.
I didn’t make this world for you,
Not for you, hungry child, not for you.Rangston Hughes
餓えた子ども
腹ぺこのガキ!お前のために世界を作ったわけではない。
お前は、私の鉄道株など買えないだろう。
お前は、私の会社に投資なんて出来ないだろう。
お前のスタンダード・オイルの株券はどこにある?
私は、この世界を金持ちと、これから金持ちになる者、
それにこれからもずっと金持ちで在り続ける者のために作ったのだ。
私は、お前のためにこの世界を作ったのではない。
お前のためじゃないぞ、腹の減ったガキ、お前のためじゃないラングストン・ヒューズ(拙訳)
スピリチュアルの伝統に則った現代の創造主(資本家)にも見放されたカラード
の子どもという自虐なアイロニーの詩なんでしょうか?そのヒューズの国では、もう人口の半分以上が、肥満及びその予備軍だと言われています(ソースは下記↓)。Hungry child
は、その人口の半分が肥満の国・アメリカが無人飛行機と軍事衛星を使って爆弾を落としているアジアやアフリカの子どもの事であり、それが「憎しみの連鎖」の根本にあるというのは、わかっているのですが、・・・と話がもとに戻ってしまいました。
2月11日・追記
CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)の、2013年のデータによると、全米平均で28.9%が肥満(BMI値・30.0以上)、35.4%が過体重(BMI値・25.0〜29.9)と分析されています。