叔父の告別式に東京・目黒に行く 1

例によって泥縄で確定申告を最終日・16日にすませる。翌17日はその三日前に亡くなった横浜の叔父の告別式のため東京に出かけた。目黒の五百羅漢寺という所。横浜に住んでいてなぜ目黒かと思ったが、生前に墓地を購入し合わせて菩提寺としていたとのことだった。スマートでお洒落だった叔父には、この目黒という地はよく似合っていると、式の前に周辺を少し散策して感じた。

目黒川。この日の東京は18度まで気温が上昇。花粉が目と鼻にきた。

目黒川。この日の東京は18度まで気温が上昇。花粉が目と鼻にきた。

目黒駅を降りて、目黒通りを西に向かう。山手通りの大鳥神社を超えて目黒寄生虫館に寄る。名前からイメージされるおどろおどろしい施設では全くない。外観も展示スペースも目黒のお洒落なブティックという風情で、ともすればタブー視されがちなテーマを明るく健康的に展示している。そうだ世界的に見れば、まだ寄生虫というのは健康問題でもあるのだ。入館は無料で、館内の撮影も自由だ。ただし、他の見学者の映り込みに注意して下さいと掲示されてある。なんと言う良心的な配慮かと感心する。ここのミュージアムショップがまた絶妙で、キワモノと冗談の境目にきわどく滑り込んでいる。ちなみに定番の立体サナダムシT シャツは、私は着る根性はなく、着て歩く、電車に乗るのも問題なしと断言する某女史へのお土産にする。自分用には大人しめ(?)の別のプリントのものを購入。合わせてフタゴムシの付箋と虫を図案化したイラストの入った定規を買う。これは普通にかわいいぞ。

目黒寄生虫館の展示スペース。明るく開放的に展示することで、広く啓発したいという健全かつ積極的な姿勢がすばらしいと思う。

目黒寄生虫館の展示スペース。明るく開放的に展示することで、広く啓発したいという健全かつ積極的な姿勢がすばらしいと思う。

寄生虫館の角を南に折れて、三折坂をから龍泉寺(目黒不動)へ。私は大阪と東京を比較する時は、実際に関西が長かった事もあり大阪びいきになるが、坂が多くその周辺の風情という面では圧倒的に東京がいい。)三折坂(みおりざかというのは、3回折れるという意味と不動さんへの参道で御降りと呼ばれたからとも言う云々。そこから五百羅漢寺とは少し道を外れるが林試の森公園に寄る。ここは旧林野庁の林業試験場だった所で、後に都に払い下げられ公園として整備されたそうだ。その由来通り、内外の幅広い樹種が観察できて1日遊べそうだ。関東でこんな大きなクスは初めて見たように思う。ここのサクラはほぼ満開で、遠足の保育園児と思しき団体が早、花見をしている。近所のお年寄りたちが散策がてら立ち話に興じている。名残惜しいが、さすがに不謹慎に遊んでばかりもいられないと思って式場に向かう。出口近くに小さな月桂樹を見つける。スマートで粋だった叔父のたむけとして棺に入れたいと思って1枚、もう1枚。合わせて2枚の葉を頂戴した。カレーやサラダに入れるわけではないので、と自分で言い訳をする。それと古い話になるが、大学の農学部と理学部があった北部構内にやはり月桂樹があって、ポテトサラダとかカレーを作る時は何枚か頂戴していた。叔父とは同じ京大(三高)つながりで、これも何かの縁かと思った。それに私と違って仕事でも私生活でも歳月を全うして米寿の祝いも済ませて逝った叔父には、勝者の証ともされた月桂樹が似合う。ひねくれ者の私が、ヤッカミなしに素直にそんなふう思えるような穏やかで誰に対してもいつも謙虚で優しい人だった。

林試の森公園の桜は、早くも満開だった。

林試の森公園の桜は、早くも満開だった。