かぜ台風でした

台風が去って早朝、いつものように高齢雑種犬・タローの散歩に出かける。まだ東の空には低く黒い雨雲が立ち込めているが、その上に新月間近の細い月と金星が寄り添うように出ている。

午前5時40分の東の空。月の左下方、時計の8時の辺りにドット抜けのように見えるのが金星です。

昨夜の台風は、三重県北部では深夜から未明にかけて風がひどかった。それに脅えてかタローが情けない弱々しい声で泣き続ける。以下も同じだが、鳴くというより泣くのほうが近い。もうすっかり耳は遠くなった(というかほとんど聞こえない)し、目も見えない。おまけに嗅覚も弱ってきた。餌なども、トレイに餌を盛って、首根っこを持って本当の鼻先まで持って行かないと気がつかない。そうすると、やおらガツガツ食いだすので食欲がなくなってしまったわけではなさそうだ。

そんな状態でも、触覚だけは健全なようだ。見えない聞こえない世界が、犬なりにやはり心もとないのか、最近むやみに泣き出す。そんな折でも、突っついたり撫でたりすれば、安心したように眠る。このあたりの様子は人間と同じだ。昨夜の台風は、そうした触覚というか、皮膚感覚を刺激したのかなと思う。肌に打ち付けるような強い雨混じりの風、骨振動を伴うような低周波も含む風音、いつもと違うそうしたものに反応したのかな。足腰がすっかり弱って、狭いところでの体の自由がきかなくなったせいか、今は自分の小屋に入るのもいやがる。ちなみに私は、屋内で動物を飼わない。それは親から受け継いだ習慣というか感覚で、家の中で畜生と同居などまっぴら御免なのだ。

それでも、昨夜はさすがに哀れに思ったか、連れ合いが中に入れてやろうと言い出す。それで、玄関の土間に繋いで入れる。なれない所で、暫くウロウロしていたが、ほどなくおとなしく寝入ってしまった。やはり風が怖かったのか。