月見どろぼう

この辺り(三重県北部あるいは四日市限定か)だけの風習のようだが、中秋の名月の夜にはお供え物を子どもたちが盗っても良いことになっている。昔は、それこそお供えの団子を、腹をすかした子どもが盗るのは仕方がないと見過ごしてくれていた、というのが謂れかもしれない。今はもうすっかり行事化して、子どもが取りやすいように小分けされた市販のお菓子を並べるようにしている。子どもたちも、それぞれ大きな袋を手に町内を廻っている。

小さな子どもは5時くらいから親御さんと行動開始。仕事で使う「馬」と作業台に飾る。

子どもたちも良くしたもので、ちゃんとお月見下さいと声をかけてから、ありがとうと持っていく。それも後の仲間のため一人一個と躾けられているのか、黙っていてもそれを守っていくからかわいいものだ。親に手を引かれた小さな子どもから、部活帰りと思しき中学生まで、そのあたりは徹底されている。人気は、明治の『きのこの山・たけのこの里』やロッテの『チョコパイ』。すぐになくなった。連れ合いが昨日作って三方に飾ったダンゴも珍しがられて欲しがる子どもいたが、こちらはお月さま用だからと堪忍してもらう。これを食べてもらうのが本来の姿なんだろうけど、今の御時世ではこれは仕方がない。もちろん、少し固くなっていたがちゃんと食べられた。

月の出る6時くらいにはほぼ完売