本当に久しぶりにCDを買いました。前に買ったのは、去年の今ころ、名古屋伏見の電気文化会館で聴いたサンドリーヌ・ピオーのリサイタルと同じ曲目のアルバムを、予習のため買って以来だと思います。
買ったのは、ORFEOレーベルのディースカウとポリーニの『冬の旅』、1978年のザルツブルグ・リサイタルのライブです。たまたまネットで予告を見つけて予約して買いました。ディースカウの歌自体はもう食傷気味ですが、ポリーニの伴奏を聴きたかったのです。
ディースカウは、この録音からしばらく経った1980年か81年に大阪でのリサイタルで同じ冬の旅を聴いて、たいへんがっかりしたことを覚えています。その頃にフィリップス・レーベルに録音したブレンデル伴奏のディスクもひどい出来でした。さすがのディースカウもこの頃は不調だったのかもしれません。ただ、このディスクでは、そんなにひどい印象も受けません。ピアノの方に神経がいっているせいか、もうディースカウも亡くなって暫く時間が経って、過去の人というイメージが私の中で定着してしまっているせいからでしょうか。
ポリーニのピアノはきれいです。伴奏という事で決して出しゃばっていませんが、レガートの音も粒だってキラキラと流れていくように奏でます。和音も濁ったような感じもなく響きます。本当に上手な人が演奏すると、こうした簡単な伴奏でも美しい音楽になるんですね。
さて、冬の旅のディスクは一体何枚買ったのだろうかと、ラックから取り出してみました。どこかに紛れているものもあるかもしれませんが、計13枚。ほかにもLPが4〜5枚あったはずです。フェティッシュなコレクターからみれば、それだけかとなりそうですが、普通の人から見れば、アホかという、まあ中途半端な数です。斎藤晴彦と高橋悠治というオチャラケや弦楽四重奏伴奏というキワモノもありますが、シュライヤーとリヒテルのライブ3種類といった定番がなかったりします。ジャケットも見ても、半数以上はまったく印象に残っていません。ハンス・ホッター、ボストリッジ、女声のシェーファーとシュトゥッツマン(Stutzumann ドイツ語翻訳読みでは普通にシュトッツマンで良いのでしょうが、このややこしい表記が一般になっているようなので従います)、それとディースカウとブレンデルあたりが印象に残ります。ディースカウとブレンデルのディスクは、私が初めて買ったCDです。
前の冬はシュトッツマンをよく聴きました。この冬は、気分からいってハンス・ホッターあたりを聴きたいかなあと考えています。