裏庭に咲いた彼岸花もしおれてきた。カサブタのような色合いになり嬉しくないので抜いて球根を掘り返してみた。写真のようなものと、他に発芽しかけの比較的小さな球根が2つあった。そちらはそのまま埋め戻す。
この花にまつわる禁忌ないわれとかイメージのせいもあって、これまで野にあるものを手折ったり、まして球根を掘ったことはなかった。今回は家の庭に咲いたものだし、死んだタローにゆかりの花だとしてもタローなら化けて出られてでも会いたいくらいだからかまわない。球根は写真のようなもので、薄い茶色の皮は水をかけるだけで剥けてしまう。玉ねぎのように縦に脈の走る白い実はわずかにヌメリを持つ。もし毒がなければこのまま茹でるか焼くかして食べられそうだ。
彼岸花は飢饉の際の救荒食として使われた(植えられた)というのは良く言われるし、私も受け売りで書いたりもしたが、どうなんだろう?ネタとして毒を抜いて食べたという話はネットで散見されるが、食材(デンプン源)としてこれを食したという話は史実としても年寄りの話としても見聞きしたことがない。そのあたりたとえばトチの実とは違う。私が毎朝夕に半時間かけて回る堤防沿いの彼岸花を全部抜いて毒を抜いても、どれほどの量のデンプン粉になるだろう。せいぜい3日分くらいか。
それと毒のある彼岸花を田の畦に植えたのは動物や虫が避けるため、たとえばモグラ避けにというのもつくり話だろう。百姓からそんな話など聞いたことがないし、庭の球根を掘り出した時はまわりにミミズがウロウロ這い出してきた。
昨日の十五夜はこの辺りでは月見どろぼう
と呼ばれる子どもの無礼講な日だ。近所の大人も集まって団子でお茶をする。子どもがいなくなった後には少しだけアルコールも入った。