捨て猫の捕獲

くだん()の猫は成猫というにはまだ若そうだが、自力で歩行して寄ってきたり時に走って逃げたりはする。ダンボール箱に入れてそのまま持ち帰れるような無抵抗で無力な子猫ではない。とりあえず堤防道路に軽トラックを停めて荷台に大中型犬運搬用のケージを置いておく。餌でおびき寄せてそのまま抱きかかえてケージに入れてしまおうとした。抱きかかえてしばらくは大人しくしていた。そのまま河川敷から道路へ上がりケージに入れようとした時になにか感づいたか暴れだす。それで手を引っ掻いたり噛んだりする。我慢してケージの入り口まで持っていき頭から胴体の半分ほどまで入れた。ケージの蓋を閉めようと手を離したすきに身を翻して結局逃げられた。一度そうした目にあわされたら警戒されてだめかなと思ったが翌日再度試みることにする。

隣家の猫を飼っている人にあらためて相談する。そんなやり方ではだめだ、餌でおびき寄せて大きな洗濯用のネットをかぶせて捕まえるのだ云々。テレビで見る街中に迷い込んだイノシシや猿を大きな網で捕まえるやり方にも思えてなんだか野蛮で気が進まない。それに前回にもまして暴れられて引っ掻かれたり噛まれたりしそうでこわい。このあたり猫を飼ったことがない弱みか妙にびびってしまう。後で聞いたり見たりすると洗濯ネットというのは猫捕獲の定番用品のようだ。後日私も病院に連れて行く時や爪切り時に試したが実に効果的であった。ネットなどを被せられると堪忍したかのように大人しくなるものらしい。がこの時点では試みる気になれなかった。

翌日古典的というか子ども騙しのような罠を仕掛ける。猫のいる付近(河川敷のサツキの植え込みをねぐらにしているようだ)に図のようにケージを置いて猫用のドライフードを誘導するように置いておく。昨日の今日で警戒されるかと思ったがミャーコミャーコ鳴いて寄ってくる。馬鹿なのかよほどお腹がすいていてそれどころではないのかわからない。餌でつって罠の付近までおびき出すと順におとりの餌を貪りあっさりとケージの中に入った。苦もなく捕獲に成功する。

こんな子でも騙しのような罠を仕掛ける