再度、デジカメで朝の金星の景色を撮ってみた

手の指や、甲が夜になるとやたらと痒くなるのは、子供のようにシモヤケを作ってしまったか、漆を触っているせいか。今、仕事と少し離れて試していることがあります。膠、漆、刳り物などですが、その件は、おいおい報告させてもらいます。

昨日のリベンジで、金星撮影。今日はあらかじめカメラの設定をしておきました。絞りを開放(F2.5)にして、ISO感度を1600か3200にしてどの程度のシャッター速度を稼げるか。結果、1段マイナスに露出補正をして、1600で、1/45秒ほどになりました。これなら手持ちでも十分です。そう思って、じっと肘と手首を固めてカメラを構えて、あとはタローが暫くおとなしくしてくれれば・・・。シャッターを押して、えらく静かにしてやがると思って下を見ると、私の足に小便をかけています。当然、胸ぐらをつかむように首輪を左手で持って、ねじり上げて・・・・。

手ブレを抑えると、今度は星ではなくて、センサーのゴミかという感じに写ります。桜の枝のすぐ上、中央やや左にあります。まあ、広角で星を撮るということがそもそも間違いかもしれませんが、景色としてはこの画角が視覚のイメージに近いように思います。

GXR A12 28mm

GXR A12 28mm

飛ぶ教室

今日は、二七日の法事を遠方より来てもらった兄に任せて終日仕事をする。若森君にも夜の9時半まで残業してもらった。


ヨーニー!そんなに無理するなよ。お前、まだ子供なんだし・・・

そんなことをヨナタン・トロッツに言いたがるヤツこそが、傲慢で嘘つきで、大事なものを失ってしまっているのだ、というのがこの季節になると思い出す話の主題だったんだ、確か。でも昔の自分に対してだって何をそんなに意地張っているんだよと声をかけたくなることがやっぱりあるよね。と三兄弟の次男と三姉妹の次女同士話していたことがあった。それも、もう随分昔の話になった。

RICOH GXR A12 28mm

RICOH GXR A12 28mm

ブナ

晩秋の山は、落ち葉のせいか意外に道を間違えやすい。それにもともと方向感覚が悪い。一昨日も途中で登る沢筋を間違える。見覚えのない景色にそれに気付くが、これも一興と暫く歩を進める

落雷を受けた(?)ブナ

落雷を受けた(?)ブナ
RICOH GXR A12 28mm

このブナは、雷にでも打たれたか?幹はまだ若いし健康そうだ。そういえばまわりの木々も、衝撃を受けたような痕跡があった。


今日は、大阪での展示会の打ち合わせをパスさせてもらう。その主催者(まどり)の代表が、来月に還暦のお祝いに娘さんのプレゼントで台湾に行くそうな。安かったらカラスミを買ってきてあげるとのことだが、安かったらを3回繰り返される。3割ほど期待しておくというと、それくらいで丁度いいと返答される。

山にミズナラを見に行く

昨日の朝、思い立って山に行って行きました。私の場合、山というと行く所は決まっているし、そのコースも最近は定点観測している樹木のいくつかを回ることが多くなりました。本当は何十年も前から見ている木に会いに行く、感覚的にもそういう感じなのですが、なんだか木工作家の言辞めいていやなので今後は使いません。

mizunara11

落葉したミズナラの森
RICOH GXR A12 28mm

 

入山規制の関係もあってこの5年ほど見ていなかったミズナラを目指しました。朝、出る時は特に意識していなかったのですが、車を降りて登山靴の紐を絞めるときには、そうだ今日はあのミズナラを見に行こうと考えていました。その木は源流域の沢筋にある巨木なのですが、5年前にはナラガレにやられてすでに立ち枯れ状態でした。7年ほど前の画像でもすでに樹勢は衰え葉の茂り具合も悪い。記憶では、そのさらに4〜5年前まではあの立派に大きく振った枝に青々とした葉をたたえていたように思います。ナラガレというか、寄生する線虫が導管に入って塞がれてしまう、つまり水を絶たれた状態にされてしまうようですが、そうなるとこうした巨木でもたちまち枯死してしまうのですね。

倒れたミズナラ 逆光で盛大にフレアを起こしていますが、逆に雰囲気は伝えています GXR A12 28mm

倒れたミズナラ 逆光で盛大にフレアを起こしていますが、逆に雰囲気は伝えています
GXR A12 28mm

GXR A12 28mm

GXR A12 28mm

 

ですから、予想はしていたのですが、やはり倒れていました。それに枝の先端の部分は、すでに朽ちているし、太い幹の部分も雨と腐朽菌にやられて上皮なども剥がれ落ちていたり苔がむしていたりします。たとえでも言葉の修辞でもなく、実際に土に還ろうとしています。もう何年も前に倒れていたのですね。倒れても立派な大きな枝ぶりの樹勢はかわりません。名残りを留めているというよりも立っている時とは別の角度からその姿を見せてくれるため、あらためて良い木だったんだなと感心しました。

2005年10月9日 NIKON D70

2005年10月9日
NIKON D70

 

2007年6月17日

2007年6月17日

不思議と喪失感とか悲壮感はわきません。このまわりにも、というかこの森全体で、そこかしこに倒木があります。それぞれ倒れた時期が違い腐朽の具合も違います。大きな時間の流れの中で命の循環がある、無機物と有機物の環がつながりまわっていく。私達理系の人間は、それを熱力学の法則という理屈で説明し、宗教は輪廻とか縁起という言葉で説明しようとしています。森の中というのは、当たり前の話ですが、それが実際に止まることなく行われていると、その中に身を置いて実感しました。下山し、近くの温泉の湯に浸かった時は、すこし肩の力が抜け、身が軽くなっているように思いました。

トチの古材 その2 トチノキについて

トチノキについては、前にも書きました。

トチ

そこでは、冒頭こう書いていました。

トチの樹というのも私の大好きな樹です。ただこれも、木工の材料としてではなく、生きた樹として好きなのです。

今、読み返すと直截な青臭い表現で恥ずかしくなりますが、この仕事をはじめてまだ間もない頃だったと思うので、そのままにしておきます。実際にそうした思いもあって、これまでトチとブナは木工材料として使って来なかったし、買いませんでした。いや、厳密にいうと5年ほど前に,ある新築の高級マンションの最上階の部屋の造り付けのテレビ台を造りました。その時、トチの杢の入った薄板を岐阜の櫻井銘木さんで、6寸か7寸ほどの丈物(3m)の角材をマルス松井銘木さんで買い求めました。色々事情があってのことでしたが、それだけです。展示会で出展した置床も、いま弄んでいる板も、ストックしている板も、いずれも建築廃材や捨てられていた家具などの解体材です。その他には、廃業する材木屋から引き取った床板が何枚かあります。

前に書いた記事(トチ)は、日付を見るともう10年以上も前になります。それに加える形で、トチノキについて知っていること・見聞きしたことを書きます。

トチノキの老樹の幹

トチノキの老樹の幹(京都府美山町・管理者撮影) NIKON D70

何年か前に、奈良県川上村にお邪魔しました。その時案内してくださった村役場の人に聞いた話です。村の中の山林の売買というのは昔から普通に行われてきた。特に登記しない限りその山の立木(法律用語ではりゅうぼくと読んだりします)も、不動産に付属するものとして所有権が移る。ところが、村内ではトチノキだけは、元の所有者の権利が残り新しい山の所有者も勝手に伐採したりできない。それは転売され所有者が何度代わっても同じで、そのことを明記するため、幹に元からの所有権者の名前や屋号が墨書されたり彫り込まれていたり、あるいは立て札がかけられたりしていた。云々。

こうしたことは慣習法として、広く認められてきたということを昔何かで読んだか習った覚えがあります。川上村の場合、それがおもにトチノキに対して適用されてきたという事なのでしょう。なぜトチノキなのかは、その村役場の人もわからないとおっしゃってました。でも、それは田畑など農耕地の狭小な山間部の村にとって、秋のトチの実が貴重な澱粉源になっていたからではないかと想像します。でないとお椀や鉢などの挽物の材とされるくらいで、建材としてはほとんど価値のなかったトチノキが特に村での明認札の対象となるとは考えにくいのです。まあ、これはあくまでも部外者の素人の想像の域を出ません。

トチの実

トチの実

今は、土産物のようになってしまいましたが、少し前まではトチの実は山の人たちの貴重な澱粉源であり救荒食であったのは確かなようです。でも、それは人間にとってだけでなく、冬を迎える動物にとってもそうだったようです。地域によって気候によっても時期は違いますが、例えば関西の北部であれば10月の始め頃、トチの実は一斉に落果します。たしかまだ学生の時だったと思いますが、友人と二人で演習林の滋賀県側の麓の滋賀県朽木村(現高島市)で農業を営む人の所へ遊びに行った事があります。ちょうどトチの落果の時期にあたり、3人で背負子を背負って山に入りました。もちろん、演習林へはその貸借元である美山町や朽木村の住人に対しては山菜など採取の入会権は認められていました。山に入りトチの群落の下で実を拾ったり、歩いたりしているとき風が吹いて梢の擦れる音がすると、そこかしこにトチの実が落ちてきます。そうですね、外皮も含めると野球の球ほどはあるトチの実が、高い枝から落ちてくると怖いものです。実際に直撃をくらうと、痛いだけでなく下手をすると怪我をするのではないかと思いました。ヘルメットが欲しいと真剣に思ったものです。この時は、村の小学校で運動会が行われていた記憶があるので、旧体育の日・10月10日であったと思います。

でも、その時を逃して、例えば一日遅れると夜のうちに、あらかたクマや鹿や猪に食われてなくなってしまうとのことでした。ですから、たとえば少し遅れて紅葉の時季に山に入って、大きなトチの下や群落を歩いても実を見つけることはありません。川の岩場の陰とか、ウロの隙間で、どうかすると見つける事ができます。そうして持ち帰ったわずかな実も、別に面倒なアク抜きまでして食する気もなく展示会のディスプレイ用に置いていたりします。すると、たいていお客さんに面白がって持って行かれたりします。見た目は、本当にお菓子の栗まんじゅうのようで可愛いものです。

おにゅう峠から百里が岳、木地山峠

少し前からこの日の山行は予定していた。体力的には少々弱り気味であったが、ちょうど色々煩わしいことも続いていたので良い機会と思い出かける。いつもの山に今回は沢筋をすこし下ってみようと思っていた。しかし途中の林道が先週はじめの雨のせいか小規模な鉄砲水にやられて崩れていた。4輪駆動車ならなんとか通れそうな感じで、強行突破も考えたがまだ時間も早かったので別の山に向かうことにする。地図を見て色々考えたが小浜(福井県)との境になる百里ヶ岳近辺が面白そう。

まだ未整備(ナビにも表示されない)の林道をおにゅう峠まで車を走らす。途中未舗装でかなりあれた路面の部分もあり、どうやらオフロードバイクの格好のツーリンツコースとなっているらしい。峠手前に登山道の入り口の標識を見つけたので、引き返してそこから山に入ることにする。

道中イワカガミの群生を見つける。花はいまが盛りのようだ(クリックで拡大戻る操作でもとに)。

イワカガミの群生

イワカガミの群生

ここから百里ヶ岳を経て木地山峠に行く道は部分的に杉の植林地が迫っているところもあるが、ブナの単相に近い林やミズナラ、カエデ、ミズメなど芦生の演習林に近い植生が残されておりよい山であった。詳しくは別に報告したい。

木地山峠近くのブナ林

木地山峠近くのブナ林