木の仕事展IN東海、終了しました

木の仕事展、終了しました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。今回は時間的にも空間的にもゆっくりと見て頂いて、出展者とも話してもらえて、たいへん良い展示会だったと思います。私は、BGMを担当して、木工房の都築さんが提供してくれたテーブルと椅子に座って、コーヒーとお茶も出すようにしました。これも来場者にゆっくりしてもらう機会きっかけになったようです。

出展者個々の売り上げなり宣伝に直結しないこうした合同展は意味がない、という意見を聞くこともあります。しかし、来場者にお話をうかがうと、こうして工芸でもなく、店舗や法人向けでもなく、個人向けの別注家具を作ってくれる所がある事を知らなかったと良く言われます。まだまだ、我々のような小規模家具工房は、その存在さえ認知されていないというのが現状です。今回の合同展のように、けっこう身近にそれぞれに個性と作風を持った小規模木工・家具工房があって、そこに相談したり細かい注文したり出来るという事を知ってもらうためにもこうした展示会は大いに有意義だと思います。

木の仕事展IN東海

木の仕事展IN東海、はじまりました

昨日の初日は、平日にもかかわらず60名近い人に来場いただきました。図のような出展者の持ち寄った景品(アンケートにお答えいただくとその場のくじ引きで当たります)も好評で、たくさんの方にアンケートをお答え頂きました。

景品

木の仕事展景品

帳戸棚

帳戸棚

オーディオセットなど

書き物机とオーディオセット

木の仕事展IN東海詳しい案内(カタログ)は、こちらにあります。PDFファイルです。

木の仕事展IN東海、明日21日からはじまります

今日は搬入でした。今回の展示では、鳴り物関係担当という事にもなっております。そのからみでは平面バッフルスピーカー(パイオニア PAX12-A)、これを復活させた300B シングル・パワーアンプで鳴らします。設営がてら視聴してましたが、良い感じです。他の出展者にも、初めて聴く平面バッフルは好評でした。あと、スワンもどきも、今回初めて聴いていただきます。

スワンもどき

スワンもどきスピーカー

木の仕事展IN東海 10月21日〜23日

木の仕事の会の東海地方のメンバーの集まる展示会を開きます。東海地方の木工界のリーダーである宮本良平さんや、齋田一幸さんなど11名が参加。わたしも出展いたします。今回は、喫茶コーナー担当として、平面バッフル・スピーカーを久しぶりに聴いてもらおうかとも考えています。LPプレイヤーも持ち出そうかな。楽しくゆっくりできる展示会になると思います。

  • 会期:10月21日(金)から23日(日)
  • 時間:10:00〜19:00 (最終日は17:00)
  • 場所:東桜会館(名古屋市東区東桜 2-6-30)

詳しい案内(カタログ)は、こちらにあります。PDFファイルです。

平面バッフルスピーカー

木の家具40人展2011終了

13日に終わった木の家具40人展2011では、久しぶりに仕事仲間や古くからのお客さんにも会う事が出来ました。12日(土)、13日(日)には500人以上の来場があったようです。この名古屋 木工家ウイークというイベントもすでに4回目で、中心になって運営してくれている工房齋の齊田一幸さんの変わらぬ尽力によるものでしょう。おかげで我々のような小規模家具工房、木工所に対する社会的認知も少なからず上がっていると思います。齊田さんや他の実行委員の人に頭が下がります。

さて、事後になってしまいますが、私の出展した仕事について受けた質問や問い合わせの応えも兼ねてこのページで解説していきます。よろしければご覧下さい。↓

利休文机

利休文机

木の家具40人展2011

木の家具40人展2011

今日は、6月10日(金)からはじまる木の家具40人展2011の出展者打ち合わせで名古屋に行く。工房齋の齊田一幸さん達の尽力で始まったこの展示会も4回目となる。私も第1回の実行委員の一人だったのだが、その後個人的な事情もあって過去2回は出展さえしていなかった。出展者の名簿を見ると半数以上が知らない人。今日の会合の出席者を見ると若い人が多い。一人の方に年齢を尋ねると24だそうだ。

会合の場所が東別院だったので、地下鉄で一駅乗って久しぶりに上前津の大須商店街に行く。日曜日ということもあるがこの国のどこが不況なのかという喧噪ぶり。逃げ出したはずの中国人らしき風情と言葉の人たちも目立つ。その中でひたすら疎外感と疲労感のみを感じる。たしかに最近食欲や物欲、何によらず欲求自体が減退しているのはたしかだが、この中いても欲しい物も食べたいものもないのだ。人いきれに疲れて早々に地下鉄の大須の駅に向かう途中でまた中国人の団体。

第62回正倉院展

2010正倉院展チケット

今年も正倉院展に行ってきました。今年の出展の目玉はなんと言っても螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんごげんびわ)で、チケットや目録の表紙にも使われています。

しかし、今回の展示で個人的に興味深かったのはいくつかの道具です。それもよくあるような儀式のための様式化され装飾されたものではなく、実際に使われた物のようです。展示や目録の解説には以下のようにあります。

宝庫には工匠具が六種類二十一点、及び部材二点が伝えられている。いずれも実用品と考えられ、使用による摩滅が著しいものが少なくない。

実際に展示されていたのは、(やりがんな)が5点、(やすり)が3点、刀子(とうす)が2点、(きり)が1点。以上が木工具と思われる物。いずれも鉄(鋼?)の刃に木製の柄がすげられている。

他に、打鑽(うちぎり)が6点、 多賀禰(たがね)が、4点。これらはいずれも(たがね)であり、現在も彫金や皮革の彫刻や装飾に用いられているものと同様の使われ方をしたらしい。なかには頭部がまくれ返ったものもあり、実際に叩いて使われたのがわかる。 角製工具(つのせいこうぐ)というものもあって、これは布や革の墨付けに使われたのではと解説されていた。これも和裁のヘラのようなものではないかと思った。そういえば母親が使っていたヘラも水牛の角か象牙製だったように思う。 斧柄(おのえ)というものもあったが、どういう使われ方をしたのか詳細は不明とのこと。

正倉院展目録から工匠具のページ

これらの道具は、いずれも現在の同種のものと比べて質素というか粗末なものだ。(やりがんな)とされているのも、大きさから言って生反り(なまぞり)のようなものだし、据えられた柄も無造作に削られている。仕込んだ部分から割れが入って、そこを針金のような物を巻いて補強してあるものもある。工匠に失礼だが、親方!やってますなあという感じでほほ笑ましい。御物の性質や他の収蔵品の質から考えても、特に粗末な道具を集めたとは考えにくい。逆に実際に使われたものの中からむしろ最良のものが献納されたと考えるのが自然だ。

さて、そこから展示されている工芸品の御物のすばらしく精緻で繊細な完成度とこうした工具類の粗末さとの落差に愕然とせざるをえない。たとえば、今回展示されている蘇芳地彩絵箱(すおうじさいえのはこ)や、黒柿蘇芳染金絵長花形机(くろがきすおうきんえのちょうはながたき)のようなものを、やはり展示されているこのような粗末な道具で作ったとは私などにはにわかには信じがたいほどだ。当然、残された物とは別に一品一品に合わせた様々な道具や治具を作り、色々な工夫や技を駆使して作っていったのだろうが、その過程も私の想像の域をはるかに超えたものだろうと思う。


さて、振り返って今我々が使っている道具を見ると、一見簡素ではあるがなんと精緻で合理的でよく出来た物かと思います。機会をあらためて書きたいと思いますが、鋸などは良い姿勢で力を抜いて鋸刃の重みだけでゆっくり挽いていくと、自然にまっすぐ垂直に切れていきます。良くできた鑿をちゃんと研いであれば上から叩けば、自然とまっすぐ孔を穿っていきます。そうして墨に沿って少しずつ歩かせていけば、下手な角鑿よりもきれいな穴が開けられます。こうしたすぐれた日本の木工具というのは、今から30年か40年ほど前にもう完成されてしまったように思います。しかし今でもちゃんとした道具屋に行けば良い道具が相応の値段で手に入ります。そうした道具を使いながらまともな仕事が出来ないのは、その使い手たる自分が箸にも棒にもかからないヘタレに過ぎないからです。それをさておいて、道具の些細な薀蓄の世界に逃げたり、すぐにやたら高価で便利そうな電動工具や木工機械を欲しがったりするのは、やはりどこかおかしい。

この10余年、毎年どんなに忙しくてもこれだけは欠かさず出向いて見るようにしています。昨年もあらためて調べると父親の亡くなる三日前の10月30日に行っています。その父親が寝たきりの状態で病院からの退去を迫られていて、その対応で私自身もかなり強いストレスのかかっていた時期でした。その後のドタバタもあってすっかり忘れていたのですが、その後に寄った興福寺北円堂の特別公開のデジカメ画像がパソコンに残っていて、そのデータ(Exif)により思い出しました。

興福寺北円堂

欠かさず拝観するのは、もちろんこうした御物・宝物を見て何かの参考にするとかパクるといった目的ではありません。もうまったく世界が違います。むしろ今回、天平の工匠の道具を見てあらためて感じたのですが、自分の下手さ加減や自分の作った物のつまらなさを自覚するよい機会になっています。別に自虐趣味はありませんからもう少し言うと、それでも何か物を自分で作って生きたいと思う自分がいて、そして使って喜んでくれてお金をだしてくれる人がいる。それはもうなんと幸せなことなんだろうと自分のよって立つ場所がハッキリするような気がするのだと思います。

私の知る範囲でも木工を始め金工や陶芸など工芸やクラフトと呼ばれる世界に携わる人はたくさんいます。しかし毎年とは言いませんが木工家とか自称したり言われたりしている人で、この正倉院展に行く、行ったと言う人を知りません。まあ皆さん忙しいからでしょうがもったいないことだと思います。同業他社(者)の展示会に行くくらいならこちらも一度は行ってみると良いと思います。そもそもパクリの対象にならないし、この天平の工匠の仕事を見てしまうと自分の事を(たくみ)と称したり、自分の作ったものを作品と呼んだりするような恥ずかしいことが出来なくなるかもしれません。でも若い人たちは、つまらないことに拘泥する必要はありません。もう今年は会期もおしまいになってしまいますが、来年でも良いので是非行ってみることをお奨めします。

暮らしに寄り添う木工展2010

私の出展物一部の画像です。

ナラ・ライティングデスク

クリ・AVボードの出展画像

クリ卓袱台

出展の小物

小物の類は、最近は作っていなかったのですが暮らしに寄り添うという展示のテーマもあって作ってみました。手前の小さな物から、メープルのティー・メジャースプーンチェリーの小皿ナラのトレー(刳り盆)、奥はレッドオークのカトラリーボックスです。スプーンと小皿は、31日のワークショップで作ってもらえます。