不変のFマウント!に、ニッコール・レンズが
使用できない?
ニコンのデジタル一眼レフカメラ・D70 を買ったのは、古いMF(マニュアル・フォーカス)のニッコール・レンズがいくつか手元にあったからです。
不変のニコンFマウント
なる神話を信じて、これらの古いレンズが最新のデジカメにも無条件にマウント出来ると思っていました。もちろん、露出や合焦は手動で行うつもりでした。ところが、D70の取り扱い説明書の使用できないレンズ
に、Ai改造をしていないレンズ(Ai方式以前の連動爪を使用するタイプ)
とあります。無理に装着しようとすると、カメラやレンズを破損します
と、脅されます。
実際には何の問題もなくマウント出来るレンズがある一方で、たしかにマウント自体がやりにくく、絞りリングがやけに固くなるものがありました。観察すると、ボディのリングに不思議な突起があります。良く分かりませんが、ある時期のニッコールレンズの開放F値を絞りリンクのついたCPUレンズの最大絞り値を、ボディ側に伝えるための仕掛けだそうです。
Ai以前のニッコールレンズの場合、レンズ側のマウントリングに被さるような形で、絞りのリングがあります。そのリングとこの突起が干渉して、装着不能または、無理に装着しても絞りリングが回せないという事になります。まったく問題なく装着でき、絞りリングも回せるレンズもあります。このあたりの形状に関しては、細かな仕様までは決められてなかったのかもしれません。ニコンとしては、今も市中や中古市場に数多あるAi以前のマニュアルレンズの機種、場合によっては製造ロット単位で、装着の可否を遺漏なく調べて、適合一覧のようなものを作るのは面倒だったのでしょう。それで、Ai(改造)以前のレンズを一律使用できないレンズ
としたのでしょう。
企業防衛とか、クレーム対策という点からは、こうして一律使用不可としてしまったほうが、安全で面倒もないでしょう。しかし、現に何の問題もなく使えるレンズも少なからずあるわけで、かつて自分達が製造・販売した安からぬ製品を、こうして切り捨ててしまうのはどうかと思います。せめて、構造上装着不能または破損のおそれがあるものがあるが、メーカーとしては機種・ロット別の対応が出来ない。
くらいの説明にとどめる事は出来なかったのでしょうか?
そのままでは問題のあるレンズも、絞りリングのレバーに当たる部分を削ってしまえば装着できます。たいていはリングはアルミ製ですから、金工ヤスリで簡単に削れます。ただし、レンズ内に削りカスが混入しないように慎重にマスキングをする必要があります。ついでに、Ai対応に改造する手もあるようですが、私の場合、今のところ必要がないのでしていません。
下の画像は、Nikkor-S Auto 55mm F=1.2というレンズのリングを削ったものです。これは貰い物で、大きな前玉は傷だらけ、焦点合わせのリングの塗装もはげはげのシロモノですが、ちゃんと写ります。55ミリという画角が、D70では、82.5ミリと言う中望遠相当になり、家具撮影などでは、不自然な遠近感が緩和されちょうど良い具合いです。その分、引いて撮るためにスペースが必要とされますが、何よりも明るく、二段ほど絞っても、曇天の屋内で、ライトなし、感度・ISO200相当で、1/60程度のスピードでシャッターが切れます。何とか手持ちで撮れる範囲です。今時の、デジタル一眼レフに付属するキットの暗いズームレンズに慣れると、逆にこうした単焦点の明るいレンズが新鮮で、使いやすく感じます。
後で、触れたいと思いますが、デジカメ自体が露出計のようなものですから、こうした古いレンズは、今の時代かえって再利用・再評価が可能ではと思います。
手元にある非Aiレンズで、そのままでD70に装着できるか否かを下記の表に示します。○印が、そのまま装着して使用できるものです。
適応 | 機種名・型番 | 製品番号 | 備考 |
○ | NIKKOR-S Auto 1:1.4 f=50mm | 5600** | 標準 |
× | NIKKOR-S Auto 1:1.2 f=55mm | 1892** | 標準 |
○ | NIKKOR-S Auto 1:2.8 f=35mm | 3902** | 広角 |
○ | NIKKOR-H Auto 1:3.5 f=28mm | 6134** | 広角 |
× | Micro-NIKKOR-P Auto 1:3.5 f=55mm | 6394** | マクロ |
× | NIKKOR-Q Auto 1:4 f=20cm | 1805** | 望遠 |
× | NIKKOR-Q Auto 1:2.8 f=135mm | 3154** | 望遠 |
○ | Zoom-NIKKOR 80〜200mm 1:4.5 | 7931** | 望遠・ズーム |
NIKKOR-Q Auto 1:2.8 f=135mmは、○・装着可能としておりましたが、装着不能でした。申し訳ありません。訂正致します。2009年2月15日
と、ブツクサ思っていたら、以下のようなニュースが流れました。
たしかに、これからオートフォーカス・自動露出制御・電子シャッターの中途半端なフィルムカメラは、私も買うことはないでしょうね。それに、パソコン部門を丸ごと中国のバッタ屋に投げ売りしたIBMの例よりはマシかも知れません。だから、仕方がないと言えばそうでしょうが、寂しい気はします。
2006年1月14日