年度末に数物
のコ
の字に折り曲げた形のものを例にあげさせてもらう。
材料は、長さ・2700ミリ、幅・600〜740ミリ、厚み・66ミリのタモ。柔らかくいわゆる
まずは木表を横削りで平面を出す。たいていは凹状になっているので木端部分から削れていく。
大型の下端定規で平面を歪みをチェックしながら削っていく。
あらかた平面が出たら、ケビキで厚み出しのための筋をひく。
ケビキの筋に従って木裏を削る。木裏は凸面になっている場合が多く、中央部分から削れていく。厚み出しが終れば、再度木表の平面をチェックする。こうして相当部分を削っていくと、板のもともと内部応力が崩れ、大なり小なり歪み、反りが生じる。ただし、手鉋でじっくりと削っていくと、その過程で生じた歪みを修正していくことになる。したがって、機械で一気に行う場合よりも加工後の安定性が良い。
電動のハンドルーターで下穴を掘る。どこまでルーターで掘るかは、時と場合によって変えれば良い。とりあえず穴の深さだけでも機械で決められるのはありがたい。
導付部分の仕上げ・修正は
鎬型の突き鑿(木型鑿)で、角の部分を仕上げる。組んでしまうと見えない部分だが、このあたりをキチンとする事で最終的にきれいに組上がる。
耳付き板の場合、木端の留部分はこの組手の要点の一つ。際鉋で慎重に仕上げる。
仮り組みは、こうした一品ものの場合、上の画像の程度に組手の当たりと固さをチェックする程度にする。何度も仮り組みを繰り返してチョコチョコ修正をしていると、肝心の留部分などがダレてきて、ダラシのない仕上がりになる。よくあるアマチュアのひとの作品
が、どこと言って文句のつけようがないのだが、なにかしら締まりがなく勢いのようなものが感じられないのは、そのせいではないかと思っている。
組み終ったら、木端の部分を仕上げる。表を再度鉋かけをして、ペーパーをかける。もちろん電動のサンダーを使わずに、ホルダーに挟んだペーパーを木理に沿ってかける。
以下は、補足のため2009年3月28日に工房日誌に掲載した記事を転載します。この仕口の工作に必要ないくつかの道具の紹介があります。
外注の仕事。クルミの
お役所仕事で、急に納期が年度末の3月31日までと指定されたらしい。10日間でこれを6台納めなくてはならないが、なんとかなった。400幅の板を組むには少し組手が粗いが納期的に仕方がない。これでも強度的には大丈夫だし、ビスケットにウレタンボンドといった今風のインチキ接合よりは遥かにましだと思う。
厚み出しと寸法切りの後、ハンドルーターで組手の下穴を掘る。あとは下の画像のような手道具で仕上げる。少し手を加えてあるが、何も特別な道具ではない。
左の3本の鑿は
この組手の壷ともいえる表面2分(6ミリ)ほどの留(45°)の部分は、この鉋で削る。以前は色々な治具を使っていたが今はこれですべて済ます。