山行のついでに、久しぶりにフィルムカメラで山の樹を撮ってきました。
機材は、ニコンのF2 フォトミックと言う30年前のカメラに、NIKKOR-S Auto 1:1.2 f=55mmと言う40年前のレンズです。フォトミックファインダーに露出計は付いていますが、他はすべて機械式で、合焦、絞り、巻き上げなど当然すべて手動です。
横着して交換レンズは持って行きませんでした。森の中の樹の全体像を収めようとすると、やはりある程度の画角が必要です。55ミリの標準では少し苦しい。
あまりエラソウな蘊蓄を述べるつもりはありませんが、このレンズは解像度優先で、モノクロ時代のレンズ
と言われるのは、こうした事なのかと感じます。それに絞り開放ちかくで撮った作例にはフレアという言葉を思い出すようなものもありました。
今回、古い銀塩カメラを持ち出したのは、使っていたD70を落として壊してしまったからです。落としたと言っても、わずか50センチほどの高さから木の作業台の上にです。シャッターは切れるし、ミラーも上がるし、オートフォーカスも動作しますが、画像がカードに記録されません。それにミラーかシャッターか少し音が変です。まあ、NIKONブランドといっても、デジカメは所詮カメラの格好をしたコンピュータだとあらためて思いました。
色々、シッタカの文句をつけましたが、実際にプリントしてみるとフィルムカメラの写真は良いものです。何枚かは四つ切りや2L版にまで伸ばしてみましたが、D70程度のデジカメのそれとは、圧倒的な描写力の差があります。複合機(エプソン・PM-A870)のおまけのスキャナではうまく伝わらず残念です。良く言われる事ですが、デジカメのプリントは一見綺麗に見えますが、どこかのっぺりした昔の絵はがきのような嘘臭さを感じてしまいます。私のように、もうパソコンのディスプレイで見る事がほとんどの場合は、デジカメが用途から言っても本筋の機械になります。しかし、プリントして鑑賞または保存することがメインの場合、銀塩写真がやはり良いなと思います。コストの面でもまだ有利でしょう。
これも、やはり言い古された事ですが、こうした機械式マニュアルのカメラに単焦点のレンズを付けての撮影は、写真本来の楽しみがあります。何より、ファインダーが大きく明るく、これなら老眼に乱視も入った私の眼でも楽に合焦できます。正直言って 、一眼レフと言いながら今の中級機レベルのデジタルカメラのファインダーはおもちゃのようなものだと感じます。それと、これはデジタルか銀塩かに関係ありませんが、安直なズームレンズに慣れてしまうと画角とフレーミングは別のものだという当たり前の事さえ忘れてしまいがちでした。こうした事をあらためて感じた楽しい山行と撮影でした。
画像は、上からブナ、ブナ、ミズナラの幹、トチの幹、です。クリックすると大きな画像が表示されます。
2007年11月22日