この記事は、4年前のダイアルアップ接続の頃に掲載したものです。残念ながら、ここに書いたリンクを新しいウインドウで開かせるというサイトは、減るどころかますます増えているように思います。私には、それは幼稚な自己愛と不見識をさらけ出すだけの恥ずかしい行為にしか思えないのです。
2005年8月12日
最近、リンク先のページを新しいウィンドウで開かせるというサイトが急に増えて来たように思います。まるで、悪性のウィルスのようです。これも、私には困ったことです。
目が年相応に弱って来たせいもあって、私は、ブラウザ(インターネット上のウェッブページを閲覧するソフト)を全画面表示にすることが多いのですが、知らないうちに、ブラウザのウィンドウが5つも、6つも重なって開いている事がよくあります。接続時間がいつも気になる私は、サイトのページを一端表示させてから、関心のあるサイトへのリンクを次々とたどっていきます。それで、モデムの接続を切ってから、ブラウザの『戻る』・『次』のボタンを使ってあらためて、たどってきたサイトの中身をじっくり読むようにしています。
ところが、ウィンドウが複数開かされていると、その数だけ『戻る』・『次』の関連が切れてしまいます。はじめの頃は、なぜ『戻る』が機能しないのか、まごつきました。気がつくと、ウィンドウの下に別のウィンドウが開いています。それがいくつも重なっていたりして非常に腹だたしい思いをしました。こういうリンクの張り方を敢えてする人は、自分がリンクしたサイトも同じ方法でリンクを張ればどうなるかと考えないのでしょうか?
この、リンクを新しいウィンドウで開かせるという、今はやりの方法について素人なりに問題を挙げれば
複数のウィンドウをユーザーの意図に関わらず開かせる事により、メモリーなどのリソースが少ない機械で利用している閲覧者のシステムをおかしくさせる可能性がつねにある。これは、ブラクラ(ブラウザー・クラッシャー)と同じことをしているわけで、クラッキングに等しい行為だと思う。
通常のリンクの張りかたをしている場合、ユーザーが意図してリンク先を新しいウィンドウで開くことは可能(リンクを右クリック→「リンクを新しいウィンドウで開く」を選択)。逆に、新しいウィンドウを開かせる設定になっているものを、同じウィンドウで開くことは、現在のブラウザではできない。しかも、そうしたリンクの張り方はページのソースを見ない限り判断できない。つまり、 ユーザーに無断で、その操作の自由を奪っている。
ウエブにおけるサイト間の繋がり(網=web)を不必要に複雑にし、ある面では断ち切っている事になる。これは、ウエブや、そもそもハイパーテキストの意図や精神に反する行為だと思う。
1に関しては、実際にPentium 100MHz、30MBのメモリーという機械でブラウズしている時におかしくなったことがあります。
2については新しいウィンドウでリンクを開くというのは、ブラウザの機能としては便利なものです。私も、検索サイト等を利用する時は、検索結果を残しておいて、右クリックでリンク先を表示させるという方法をとります(実際には、 Netscape 4.77やMozillaの場合、3ボタンの真中のワンクリックで開きます)。ただし、その操作は、あくまでもユーザーの判断と自由にまかせるべきです。
オープンソースで開発され、フリーで利用出来るMozilla(モジラ)というブラウザがあります。この最新版のMozilla-0.9.5
に搭載されたタブという機能を使えば、抑圧者から操作の自由を奪い返せそうです。Linux版はもちろん、Win版や、Mac版も用意されています。Linux版の.rpm
というパッケージ化されたものでも7MBほどです。Nimda対策のIE(インターネットエクスプローラー)のServicePack(サービスパック)2よりも軽い。アナログ接続でもダウンロードできる範囲だし、その価値は充分あります。
こうしたリンクの張り方は、当然、W3C(World Wide Web Consortium)でも戒めています。
ユーザーエージェントで新しいウィンドウを開かない設定ができるようになるまでは、ユーザーに知らせることなしに新しいウィンドウを開いたり、現在のウィンドウを変更しないようにする。[優先度2]
たとえばHTMLの場合、新しいウィンドウをターゲットにするようなフレームを使用しないようにして下さい。
『ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0』・「ガイドライン10.暫定的な解決策をとる」より
同じ、W3C(World Wide Web Consortium) の『勧告』無視でも、画像の代替テキスト非掲載より、こちらの方がより悪質で犯罪的ですらあるように思います。前者が単なる不作為、あるいは不注意であるのに対して、こちらは、意図してわざわざ行っているからです。つまり、普通にリンクのタグ
<a href=" ">
と書く所にわざわざ、たとえば
target="_blank"
という属性を付け加えているわけです。いわば、確信犯的行為であるわけです。
こうした、「リンクを新しいウィンドウで開かせる」というサイトを作る人の意図は、一度自分のサイトを訪れた閲覧者のシステムに、ウィルスのようにいつまでも自分のページを残しておきたいということでしょう。少し前によくあった、自分のサイトのフレームの中に外部リンクを表示させるといった野蛮な行為と根は同じです。
メディア関連のサイトだから、あえて例として挙げると『買ってはいけない』で有名な某『週間金曜日』のサイトが、このリンク方法を同時に、二つながら行っています。消費者や社会的弱者の味方面しながら、自分だけが正義であるかのような、マスコミ権力の臭いがプンプンしてきそうでイヤになります。こうしたサイトを作るなら、いっそう外部のリンクなど一切張らずに、Webの地の果て、行き止まりに自分のサイトを置いておけばいいのではないかと思います。
ここに挙げた週刊金曜日のサイトはまともなリンクのはり方に変わっていました。
2001年10月29日、パソコン日誌に掲載。