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ブナ

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、このサイトの左側の背景画像に使っているのはブナの幹です。

ブナの幹 ブナの森

私は、木工の材料としてはブナはあまり好きではありません。でも、樹木としてのブナや、ブナの森は大好きです。春の新緑の頃もステキだし、秋の黄葉は見事なものです。季節を問わず陽の光の射し込む森の中は明るく、クマザサなどの下草も豊かにおい茂ります。ブナは単独の極相林を構成するよりも、地方によりミズナラトチサワグルミなど他の広葉樹と共生することが多く、季節により様々な花や山の恵をもたらしてくれます。

幹の独特の色合いは地依類の共生によるものですが、私はその様々な色を散らしたくすんだ様子が、老画家の使い込まれたパレットのように思えてとても好きです。かつて、日本の全国に分布していたというブナも、開発や植林により伐採され、しかも用材としては顧みられることもなかったようです。そのせいか、今から20〜30年ほど前までは、二段ベットとか、ベビーベット、子どもの玩具など安価な家具などに大量に使われていた記憶があります。家具材としては、どうも好きになれないというのも、そうした印象があるからかもしれません。

ヨーロッパには、ベグナーとかヤコブセンといった人によるブナ(ヨーロッパ・ビーチ)を使ったとても素晴らしい椅子があります。硬くて粘り強く、緻密な材質は、椅子や玩具の材料としては良い物でしょう。今でも、家具材としての広葉樹の中では、ブナは最も安価な物のひとつです。少なくなったといっても、まだまだ他の樹よりは蓄積量が多いのでしょう。それでも、やはりブナはこれ以上用材として伐採せずに残しておいて欲しいと思います。木材を消費する仕事をしながら,勝手な言いぐさですが山を歩くたびにそう思ってしまします。

1999年10月、京都府美山町にて撮影

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