あるNPOのウエブサイトの改装のお手伝いをしました。そこが、障碍者の施設と共同で、ある製品を企画・販売するに当たって、自分達のサイトも、障害を持った人にも閲覧可能なものにしたいとの事でした。とても良い事だと思いました。
その事がきっかけで、普段訪れることのあまりないサイトも色々覗いてみました。暗澹たる気持になりました。ウエブが本来持っているはずの、ユニバーサルな情報共有の仕組みや精神は、どこへ行ってしまったのでしょうか。
下の画像が何かお分かりになるでしょうか?これは、某政権政党のサイトのトップページ(9月20日現在)をLynxというテキスト・ブラウザで表示したものです。
さらに、フレームで分けられたメインのページを、同じくLynxで表示したものが、下の画像です。
コワモテな著作権表示以外の情報を読み取る事はできません。代替えテキストのない画像と、フラッシュだけで作られたページはこうなります。インターネット・エクスプローラで見れば良いではないか、と思われるかも知れません。ただ、ウエブを閲覧し、利用しているのはインターネット・エクスプローラのようなグラフィカルな視覚表示のブラウザを使える人ばかりではありません。視覚障碍者の人が使う音声読み上げブラウザは、Lynxで表示された文字情報を音声で読み上げます。また、Lynxのようなテキストブラウザ自体が、インターネットの接続環境の悪い人や古い機械を使っている人にとっては、重要な閲覧手段です。現に、私自身も、少し前までメインのブラウザとして使っていました。
この政権党のサイトは、障害を持った人やテキストブラウザを使う貧乏人や変わり者など、自分達の集票の対象ではない連中は相手にしない、という性格を良く表しているとも言えます。ここまで、内容不明だと、無断使用
だとか、複製
にすら当たらないだろうと思って、敢えて掲載しています。ただ、こんなサイトを公開している政権政党に、いくら住基ネットは安全だ、悪用はしないと言われても、決して信用は出来ません。それに、この人たちの言うIT大国
とは一体なにかと考えさせれます。せいぜいが、ビル・ゲイツのようなIT詐欺師を日本にも、たくさん作って金儲けをさせたいと言う事でしょう。
残念なことに、こうしたサイトは他にもたくさんあります。私の見た範囲だけでも、その三分の一くらいは同じようなものでした。なにも、ウエブに画像を使うな、文字ばかりにしろと言っているわけではありません。ウエブの基本的な仕組みさえ理解して、素直にサイトを作れば、決してこんなものにはならないはずです。私のサイトも、仕事の紹介などで、画像が多く、決して視覚障害を持った人に優しいサイトとは言えません。しかし、普通に当たり前に作っているので、決してそういう人たちを門前払いするようにはなっていないと思っています。ちなみに、私のサイトを同じLynxで表示したものを、下に示します。
2003年9月20日、パソコン日誌に掲載